かすみ草なんて嫌いだ

ある日、普通に学校から帰った日だった。

いつもいない、顔もまじまじと見たことのない父が帰宅していた。

いつも以上にキンキンした母の声も聞こえた。

何かあったんだなと普通に察したが、私が入る理由はない。普通に喧嘩しているふたりの隣を通り過ぎて冷蔵庫から豆乳を取り出した。

すると音を立ててこちらに走ってきた母。え、私に？と思った次の瞬間、シャリンと鋭い音が聞こえて、包丁を取り出したんだと分かった。

ハッとした時、私は床に水っぽい感触と生ぬるい温度を感じながら、息苦しさとどうしようもない悲しみを覚えつつ、目を閉じた。