生徒と先生なんてあり得ないのもそうだけど、もし好きになってしまって、裏切られたら………。


あの人はあまり家に帰って来なかったけど、暴力は振るわれた事無かった。


だから、夜中に殴られて蹴られて、タバコの火も当てられた時、本当に私はあの人には必要の無い子なんだなって再確認して、悲しくなった。


「優愛、ちゃん………?」


先生が心配そうな顔で私を見る。


「どうしたの………?」


「何がですか?」


「優愛ちゃん、泣いてる………。」


先生に言われて手を目元に持っていくと、涙が出ていた。


「なんで………。」


一度出てきた涙は止まる事も無く、どんどん流れてくる。


「す、すみません。」


急いで涙を止めようと、手で目を擦る。


すると、先生が私の手首を掴んだ。


「そんなに擦ったら目腫れちゃうよ。優愛ちゃん、大丈夫だから。俺が絶対守るから。」


優しい声でそんな事言われたら、また涙が出てきちゃうよ………。


「大丈夫。優愛ちゃんが寝るまで、傍に居るから。」


私の頭を優しく撫でてくれる先生。


それが気持ち良くて、安心して、私は深い眠りについていった。