しばらくして、寝室から香苗が出てきた。
「優愛ちゃん、寝たよ。」
「そっか………。どうだった?」
「正直、かなり酷いわね。腕だけじゃ無くて、お腹や背中にもアザがあった。どれも新しいものね。」
「そっか………。」
どれだけ辛かっただろう………。
俺が寝ちゃったから………。
優愛ちゃんを守るって、決めたのに。
「ねぇ、優愛ちゃんと翔琉はどういう関係なの?」
唐突に聞かれ、戸惑う。
でも、香苗には隠す事は無いだろうと思い、
「俺、優愛ちゃんの事好きなんだ。」
ありのまま、そう答えた。
案の定、目を大きく見開いて驚いている香苗。
「優愛ちゃんって、翔琉の働いてる高校の生徒?」
「ああ。」
「そうなんだ。お父さんは知ってるの?」
香苗は幼馴染みだから、俺の親父が理事長をしている事も知っている。
「知ってる。応援してくれた。」
「あー、なるほどねー。………ところで、優愛ちゃんの事なんだけど、警察と児童相談所に通報した方が良さそうね。」
「あぁ。優愛ちゃんが起きたら話してみるよ。」
「うん。………ちゃんと優愛ちゃんの心のケアしてあげてね。」
「おう、ありがとう。」
「じゃ、またなんかあったら連絡してね。」
そう言って、香苗は帰って行った。