コトッとテーブルに置かれたマグカップの中には、ココアが入っていた。


「はい、どーぞ。」


「ありがとうございます。」


一口ココアを飲む。


甘くて美味しい。


体の冷えも、段々無くなってきた。


「これ掛けて。」


いつの間に持ってきてくれたのか、大きな毛布を肩に掛けてくれた。


「ありがとうございます。」


何から何まで申し訳ないなー。


「いいよ。それより、このままじゃいけないと思う。」


「そう、ですよね………。」


今まで、助けてくれる人なんて居なかった。


うちだけ家庭訪問が無くても、うちだけ授業参観に親が来てなくても、先生にも何も言われず、こんなに真剣に考えてくれる大人は居なかった。


前川先生が真剣に私の事を考えてくれてる、という事が凄く嬉しかった。