「そうですよ。1年に数回帰ってくる程度です。」


「えっ………。」


さっきの話から、母があまり帰って来ない事は伝わったらしいけど、そこまでだとは思って無かったらしい。


先生が私の目の前まで歩いてきて、そして………


“ぎゅっ”


抱き締めた。


「ちょっと何してるんですか。」


あまりに突然の事で驚く私を他所に、先生の私を抱き締める腕の力が少し強くなった。


「良く、頑張ったね。」


優しくそう言う先生の声は、泣くのを我慢しているかの様に震えていた。


いつもなら、こういう事されたら突き放すのに………


なんでだろ、全然嫌な気はしない。


むしろ、安心感がある。