何件か屋台を回り、薄暗くなってきた頃。


「疲れたね。ちょっと休憩しよっか。」


「はい。」


私達は屋台が並ぶ所から少し離れたベンチに座る。


「あ、そういえば、喉乾いてない?さっきタピオカあったんだよね~!」


「確かに、喉乾きましたね。買いに行きましょうか。」


「いや、優愛ちゃんはここで待ってて!すぐそこにあったから!」


そう言って、先生はまた屋台の所まで行ってしまった。


私はベンチに座り直して、「ふぅ。」と息を吐く。


慣れない浴衣に慣れない下駄のせいか、いつもより疲れるのが早い。


ベンチでボーッとしていると………


「可愛い子はっけーん!」


近くでそんな声が聞こえた。