「優愛ちゃん、大丈夫?久しぶりの学校で疲れてない?」
心配そうな顔でそう聞いてくる先生に、「大丈夫です。」と返す。
「そっか。優愛ちゃん、香苗の事覚えてる?」
香苗さん………?
暫く記憶を辿って、思い出した。
「お医者さんですよね。」
「うん、そう。香苗が、優愛ちゃんの傷の具合を確かめに来たいって言ってるんだけど、大丈夫そう?」
「分かりました。いつですか?」
「今!」
「………は?」
いやいや、学校だし。
まだ午後授業あるし。
「早退してもらいたいんだ。」
「いや、一週間も学校に来てなかったんですよ?単位取れなくて留年とか嫌ですよ?」
「あー、それは大丈夫!親父が何とかしてくれるから!」
あー、そうだった。
先生のお父さん理事長だった………。
「はぁ、分かりました。じゃ、帰ります。」
椅子から立ち上がって数学準備室を出ようとしたら、先生に腕を掴まれた。
