林田刑事は事件、事故の両方からの視点で捜査した。しかし、何度も用務員を呼んでも、らちが上がらなかった。霊の呪いだと、支離滅裂な事しか言わなかった。

 敏也の死因が判明した。三階から落ちて死んだのではない。首を絞められて殺害されたのだ。その証拠に首には、引っかき傷があった。抵抗した痕が残っている。霊の仕業ではない事がはっきりした。

 引っかき傷からDNA鑑定をした。すぐに犯人が判明した。

 すぐに逮捕したが、冤罪と反論した。しかし、外階段の施錠の鍵にも指紋が残っていて、それにも一致した。

 それでも否定した。

 そして、この結末を一番驚いたのは生徒たちだ。

 敏也は自殺と思っていたが、事件となり、首を絞められて殺された事が事実となり、犯人が中川教諭だったのだ。

 逮捕されても冤罪を主張した。

 施錠した鍵を持ち出し、三階まで上がり、敏也の背後から首を絞め殺害した記憶など一切ないらしい。

 挙げ句の果て、幽霊の仕業と言い出し始末だ。敏也を殺す理由などないのも事実だが、科学的な証拠は揃っている。

 今思えば、生徒たちには事故と強調していた事がアリバイ作りではないか。そうなると用意周到で狡猾だ。殺人者が目の前にいたかと思うと背筋が寒くなる。

 了