「……」

 正充には寝耳に水だ。どんな想像をして、いじめと思ったのだろうか。確かにゲームソフトを貸すときに強い口調で言ったのかもしれない。それを見ていたのか。あのときゆかりの幽霊話で盛り上がっていたのではないか。腑に落ちない。唖然と口を開いたままだった。

「本賀正充くんが詰め寄って、その直後に、敏也くんは帰ってしまいました。あのとき何か、いじめていたような気がします」

「どうなんだ?」

 正充は中川教諭に言われても、何も答えられなかった。

 沈黙が続いた。

 正充も本当の事を言いたかったが、いじめの首謀者扱いされ、怒りが込み上げて、肝心の反論する言葉が出てこない。

「本賀、職員室に来い!」

 中川教諭のこの一言が決定的となった。正充は否定する事さえ出来なかった。周囲の冷たい視線を浴びながら、教室を出た。

 
 校長室に正充は、ソファに座って待っていた。

 すぐに校長と中川教諭は入って来た。