でも…私の悩みはそう易々と人に言えるような事じゃない。

小学生の頃の友達の反応を思い出す。

この気持ちは人に受け入れられるようなものじゃないのはわかってる。


「まあ、話せるようになったらでいいよ。じゃ、授業始めよっか!今日は連立方程式の利用からだから教材の…」


そのあとは恙無く授業が行われた。


「…と、はい。時間なので今日はここまで。宿題やってきてね…っていっても松戸さんならちゃんとやるか。では、お疲れ様」

「ありがとうございました、さようなら」
「はい、さようなら。いつでも話なら聞くからな」


また最後に、先生はニカッと笑って見せた。
他の席からきゃーなんて聞こえる。


「…ありがとうございます」


さっさと身支度を済ませて席を立つ。


「気にしないで。じゃ、外にいるお兄さん?にもよろしく」

「え」


チラッと外を見る。もう既に暗くなった外に屈まないと塾のドアを通れなさそうなくらい背の高い人影が見える。


「似てるからお兄さんかなって」

「…ええ、さようなら」


その場から逃げるようにして出口へ。
やっぱり、似てるんだね。

自動ドアを通ると、やっぱりお兄ちゃんだった。