この人は私の数学担当の講師 蕨 俊平(わらび しゅんぺい)先生。現在大学二年生らしい。
短い茶髪でにっと笑った時の八重歯が特徴の明るく生徒に人気の講師だ。
カバンの中からノートと教材を出し、宿題だった箇所を開き先生に渡す。
キュ、キュ、と赤いマーカーペンの丸をつける音がする。
「よし、流石松戸さん。今日も全問正解だ!あーでももうちょっと途中式丁寧に書いた方がいいかな」
「ありがとうございます、気をつけます……?」
添削が終わったのに、先生はノートを返してくれない。
「ねえ松戸さん。泣いたでしょ?まぶた腫れてるよ」
おかしいな、しっかり顔洗ってきたはずなのに。
「き、気の所為です」
「そんなことない。俺昔そうやって人前で我慢してた子知ってるからわかるんだ」
先生は目を細め、力なくそう呟く。
先生もそんな顔するんだ。
そんな切なさとは無縁そうに見えるのに…。
「俺はさ、松戸さんとはだいぶ年も離れてるしここでしか会わないほぼ他人じゃん?他人だからこそ言いやすいこともあるんじゃない?」
先生はそう言いニカッと八重歯をみせ笑った。
こういうとこも、先生の人気の理由なんだろう。
短い茶髪でにっと笑った時の八重歯が特徴の明るく生徒に人気の講師だ。
カバンの中からノートと教材を出し、宿題だった箇所を開き先生に渡す。
キュ、キュ、と赤いマーカーペンの丸をつける音がする。
「よし、流石松戸さん。今日も全問正解だ!あーでももうちょっと途中式丁寧に書いた方がいいかな」
「ありがとうございます、気をつけます……?」
添削が終わったのに、先生はノートを返してくれない。
「ねえ松戸さん。泣いたでしょ?まぶた腫れてるよ」
おかしいな、しっかり顔洗ってきたはずなのに。
「き、気の所為です」
「そんなことない。俺昔そうやって人前で我慢してた子知ってるからわかるんだ」
先生は目を細め、力なくそう呟く。
先生もそんな顔するんだ。
そんな切なさとは無縁そうに見えるのに…。
「俺はさ、松戸さんとはだいぶ年も離れてるしここでしか会わないほぼ他人じゃん?他人だからこそ言いやすいこともあるんじゃない?」
先生はそう言いニカッと八重歯をみせ笑った。
こういうとこも、先生の人気の理由なんだろう。



