一生のお願い

だが、「お前がいるから泣き止まない、出ていけ」と楓に蹴られ自分の部屋に戻るとあの冊子を見つけたのだ。

これは……楓が中学2年生の時。楓の部活である文芸研究部に展示されていたもの。

楓には読むなといわれたがあの後そこの部長にこっそり渡された。

あの時は楓が嫌がるだろうしと思って読まずに置いておいたが、もう時効だろうと思い読んでしまった。というか腐男子としてBL小説を放っておけなかった。

そしてそこを楓に見られてしまうなんて。


「楓」

「……」


楓は下を向いて、何も言わなかった。

いつもなら即殴られるなり蹴られるなりするのに。

それが、この小説に描かれていた想いが本物であると物語っていた。


「……乙葉ちゃんは、見ていなくていいのか?」

「……! バカ兄貴……」


楓はそう小さく吐き捨て部屋を出ていった。

俺は何も言えなかった。