「…んん」


頭を撫でていると楓はモゾモゾと動きまた眠ったのか動きを止めた。

そういえば、こうやって触られるの嫌だと言ってたな。

もう楓も中学生だもんな。

手を離し立ち上がる。

眠ってる女子中学生の頭を撫でるとか、1歩間違えれば犯罪だ。危ない危ない。

え、影からBLウォッチングするのは犯罪じゃないのかって?

腐腐腐、バレなきゃ犯罪じゃないのだよ。

並大抵の覚悟で腐男子は務まらないからな。

そう言ったら晴人にハリセンで叩かれたが。どこで買ったんだろうか。

とりあえず朝ごはんを食べようとリビングへ向かおうとする。


「お兄ちゃん」

「…?」


向かおうとしたが、眠ってるはずの楓に腕を掴まれた。


「行かないで…」


楓の方を振り返ると、半目を開けてこちらを見ている。寝ぼけてるのか?


「お兄ちゃん、好き…」


ほぼ閉じかけた目でこちらを見て呟いてきた。

いつも「二度と帰ってくんな」とか言われてるが、心の中ではちゃんと兄として好かれてくれていたのか。

もう一度ベッドの傍にかがみ、楓を見る。


「お前は少々生意気になったが…俺も好きだぞ。楓は世界で一番大事な女の子だ」


ちょっと(ちょっとか?)生意気な、大事な妹だ。

楓は、とても満足そうに笑い再び眠った。
思春期とは、難しいものだな。


颯 side END