部長に挨拶をし、正門の方へ向かうとお兄ちゃんは急に走り出した。


「晴人!」

「…よ」


どこか不機嫌そうな晴人くんは正門まで迎えに来ていたのだ。


「?何不貞腐れてるんだ?」

「別に…あ、楓ちゃんも一緒だったんだ」

「こんにちは」


私の姿を見ると同時に不機嫌そうだった表情は和らぎいつもの優しそうな笑顔になった晴人くん。


「こんにちはー。じゃ颯行こうぜ」

「ああ。楓、文化祭頑張るんだぞ」

「あんたに言われなくてもわかってるわよ。二度と帰ってこなくていいからね」


苦笑いを浮かべ、2人は背を向け駅の方へ歩き出す。


「晴人聞いてくれ。お客の中にBLカップルがいたんだ。片方が女の子を見ていたともう片方がヤキモチをやいてたんだ。絶対そういう関係だよな」

「お前の聞き間違いか幻想だろ。腐男子 in the 女子校とか怖ぇ」

「晴人は、俺がほかの女子と話してたらヤキモチ妬いてくれるか?」

「何聞いてんだよ全く…」


私の心の中の腐った部分がまたザワザワする。

胸を押え、どんどん遠ざかる2人の背中に手を振った。