一生のお願い

「ば、馬鹿なの?!」


お兄ちゃんはこういうホラーとかグロいのとか苦手なくせにカップル追いかけそのままお化け屋敷に入っていった。


「うわあああああ!!」


がしかし、すぐに顔面蒼白で出てきた。


「ぷっははははは!お兄ちゃんバッカじゃないの!」

「だ、だって入ったら地面がぬるって…ひいぃいぃ」

「もうたかが中学生の作ったお化け屋敷にそこまでビビるなんて…あはははは!」

「楓も1度入ってみろ!やばいぞ!」

「そこ、そもそも私のクラスだしこういうのクソ兄貴と違って平気なのよ」

「なんてこった…楓はたくましくなったな…」

「女の子に向かってたくましいとか禁句よ。そんなんだから彼女できないのよ」

「お前こそ、もう少し年上を敬え特に俺に!」

「クソ兄貴にそんな価値ないわ」


いつものポーカーフェイスはどこへやら。

たかが中学校のお化け屋敷で顔面蒼白になり取り乱しまくるお兄ちゃんとギャーギャー言い合いながら次に向かうのは、文芸研究部。

わが学園の腐の巣窟だ。


「わ!楓さんのお兄様。おひさしぶりです」


部に入ると、部長がブックカバーのついた本を読んでいた。