あーもう私のバカ…。

だって今から新しい本を探す時間もないし…。

大丈夫、これはただのBL小説。


「ありがとう…!楓さんは我が部の救世主よ!」

「部長大袈裟です」

「ちょっと、読んでみてもいいかしら?」

「え、ええ」


ノートを部長に渡す。

まじまじと目の前で読まれる。

これ、何かの拷問かしら…。


「あの、そちらお貸しするので今読むのは」

「…あ、それもそうね。ありがとう。楓さんこの話…」


すると部長は私の手を握り詰め寄ってきた。


「とっっっっても、素晴らしいわ…!この弟の気持ちが痛いほど伝わってくる、切なくてまだ冒頭しか読んでないのにもう既に泣きそうよ」

「あ、ありがとう、ございます?」

「これ、完結はしてるのかしら?」


これは小説とは名ばかりで、日記のように私の思いを書いてるだけに等しい。

だから完結させるつもりなんてなかったんだけど。


「いいえ」

「そうね…どんな最後にするとか決めてるかしら?」

「すみません…」

「んー、できればいいエンドを考えておいてくれる?仮でもいいから」

「わかりました」


そうしてこの日の部活は終わった。

とんでもないことになってしまったわ。