五反野さんは私の手を握ってきた。


「応援、させてください!」

「五反野さん…」

「ではまずは…」


五反野さんは私の手を離すと、くるりと回り、両手をばっと広げた。

可愛いな。五反野さんはやっぱりこういう動きが似合うなって思った。

私のような、不毛な恋とは縁遠いんだろうな。


「『私を抱いて!』ですよ、先輩!!」


…前言撤回。

この子、禁断系のBLよく読んでたわそういえば。

絶対、面白がってるわ…。


「却下」

「えー!じゃ、じゃあ不意打ちで…」

「却下です。五反野さん面白がってるでしょ」

「そ、そんなことありません!まずは女の子として意識してもらうとこらからですよ先輩!」

「お、女の子だなんて…」

「お兄さん先程お見かけしましたけどイケメンさんじゃないですか!ぼさっとしてるとあっという間に可愛い男の子によってメガネ攻めとなってしまいますよ!」

「BLになること前提なのね…」


わんぎゃん騒ぐ後輩の頭を撫でる。


ひかれ、なかった…。

カバンの中の、今日書いていたBL小説。

小説と言うより日記のようなもの。

弟と兄の恋物語。