お兄ちゃんがそう呟いていたのを、私は気が付かなかった。
部屋に戻ると、五反野さんがある紙を持ってちょこんと座っていた。
「どうしたの?」
「…あ、いえ」
「それは?………あ」
その紙は、さっき落ちた紙。
あの引き出しにしまってた紙って…。
すぐに、その紙をとる。
「先輩?」
「こ、これは子供の頃書いたもので…」
幼稚園の頃作った、婚姻届もどきだ。
覚えたてのひらがなでお世辞にも綺麗も言えない字で書かれた私の名前と、止め払いがきちんとした漢字で書かれたお兄ちゃんの名前。
当時小学生だったお兄ちゃんが、まだ小さい私を泣かせないために書いてくれたのだ。
見られた。
隠し通すつもりだったのに…。
恥ずかしさから、体が熱くなる。
それを誤魔化すようにその紙を抱きしめるようにして隠す。
「先輩…」
小学生の頃の友達の反応を思い出す。
また、「おかしい」「気持ち悪い」って言われるのかな。
胸がチクチクする。
やっぱり、おかしいのかな。
「…素敵です」
「え」
「そうだったんですね。だから話して下さらなかったんですね」
「…」
「大丈夫です、誰にも言いません。だから…」
部屋に戻ると、五反野さんがある紙を持ってちょこんと座っていた。
「どうしたの?」
「…あ、いえ」
「それは?………あ」
その紙は、さっき落ちた紙。
あの引き出しにしまってた紙って…。
すぐに、その紙をとる。
「先輩?」
「こ、これは子供の頃書いたもので…」
幼稚園の頃作った、婚姻届もどきだ。
覚えたてのひらがなでお世辞にも綺麗も言えない字で書かれた私の名前と、止め払いがきちんとした漢字で書かれたお兄ちゃんの名前。
当時小学生だったお兄ちゃんが、まだ小さい私を泣かせないために書いてくれたのだ。
見られた。
隠し通すつもりだったのに…。
恥ずかしさから、体が熱くなる。
それを誤魔化すようにその紙を抱きしめるようにして隠す。
「先輩…」
小学生の頃の友達の反応を思い出す。
また、「おかしい」「気持ち悪い」って言われるのかな。
胸がチクチクする。
やっぱり、おかしいのかな。
「…素敵です」
「え」
「そうだったんですね。だから話して下さらなかったんですね」
「…」
「大丈夫です、誰にも言いません。だから…」



