一生のお願い

「ええ、そんな悪いですよ。お兄さんに怒られてしまいますよ」

「いいのいいの、お互いよくこうして拝借し合ってるから」


驚く五反野さんをおいてお兄ちゃんの部屋に行く。

置いてある家具は違えど部屋の構造はほぼ同じだ。

白と黒で統一されたオシャレな部屋。このBL本だらけの本棚がなければ完璧なのに全く、

残念なイケメンとはお兄ちゃんのためにある言葉だと私は思ってる。


「…あれ?」


お兄ちゃんの本棚の9割はBL本で埋め尽くされている。

でも、なんか前よりBL本以外が結構増えた…?

しかも中にはホラーだったりとお兄ちゃんの苦手なジャンルまである。お兄ちゃんはグロいのがダメなのだ。

どういうこと…?

嫌な予感が頭をよぎる。

中高と男子校かつオタクなお兄ちゃんには今までまったく女っ気がなかった。

でも、大学は共学。

容姿は整ってる方だし黙ってれば完璧なお兄ちゃんのことだから…女の子たちが放っておくわけないんだろうな。



─ガチャ


玄関のドアが開く音がした。

父はまだ仕事中のはずだし、母はリビングにいる。

ってことは。

部屋のドアが開く。


「ただいま」

「チッ、今日も生きて帰ってきやがったのね」