この、全国の男子大学生の声を平均化したような声の主は。


「晴人くんじゃないですか」

「はは、今帰り?」


私より少し背の高い、長めの前髪のふんわりした茶髪にぴょんと出てるアホ毛が特徴的な平凡な雰囲気の男性─金町 晴人(かなまち はると)さん。

お兄ちゃんの高校からの友人だ。良くうちにも来るので私も何度かあったことがある。

五反野さんは晴人くんにぺこりとおじきをし、晴人くんもそれにあわせおじきをする。

なんだか微笑ましいな…。


「平凡受けだ…」

「…げ」


と思ったら五反野さんは唐突にそんなことを呟く。


「あー、うん。楓ちゃんのお友達だもんねそうですよね」

「クソ兄貴は今日はいないんですか?」

「ク、クソ兄貴…。この点だけは俺あいつに同情するわ…。颯は急遽サークルの集まりらしくて」


なんだ…。

じゃあ会えないんだ。

晴人くんがいるからお兄ちゃんも近くにいるかもって思ったのに。


「先輩、お兄さんがいらっしゃるんですか?」

「ええそうよ、無駄にデカくて邪魔で仕方ないわ」

「ま、まあ…」


『高輪ゲートウェイ、高輪ゲートウェイ』


「あ、じゃあまたね!颯によろしく」