「おつかれ」

「なんでいるのクソ兄貴」

「母さんに行けって」

「あっそ」


家の方へ歩き始める。

お兄ちゃんはすぐ隣にきた。歩幅をあわせてくれてるんだろう。

そういうの慣れるのかな。


「さっきは、悪かった。もう楓も中学生だからな。気にしてなくてすまなかった」

「気にしてないわ。そう思うならBL本のひとつでも寄越しなさいよ」

「ふっふっふ、さっき本屋で楓の好きそうなCPの本を見つけたから買っておいたぞ」

「ふん、クソ兄貴にしてはやるじゃない。仕方ないから今日は一緒に帰ってやるわ」

「元からそのつもりで来たんだが…やはり思春期は難しいな」


すれ違う人の何人かはチラチラと私たちを見る。


「今の2人みた?美男美女!」

「見た見た!仲良さそうなきょうだいだよね」

「ねー!いいなぁ」


「…いつからだったか、楓は髪を伸ばすようになったな」

「クソ兄貴は短いじゃない。あんたと一緒なんて嫌だからよ。さっさと禿げてしまいなさい」

「うーん…やはり健志以上の辛辣だな」

「知らないわよ。クソ兄貴なんかに優しくしてあげる義理ないもの」


ふん、ってそっぽを向いてさっきより少し早めに歩いた。