私には、たった一つの願い事がある。

ずっとずっと、願い続けたこと。


──「神様、お願いします」


それは例えば七夕に。

それは例えば神社のお参りのときに。

それは例えばサンタさん…はあの頃はもうあまり信じてなかったけど。


神様や、おまじないや、その他常識外れなものに願わないといけないほどの大きくて、それでいて絶対叶うことの無い願い事。



「お兄ちゃんとの、血の繋がりがなくなりますように」













「先輩…?どうされましたか?」

「…あ、いえ」


ここは丸ノ内女学院中等部。

ちまたでは全寮制のお嬢様学校なんて言われているが、実際は全寮制でもなければお淑やかなお嬢様だらけなわけでもない。

みな、外ズラはいいけど内は自分は特別だと思い込む高飛車な人がほとんど。

まあここ、つまり部室は趣味の合う人がほとんどで高飛車な人もいないので私の唯一の居場所にもなってるけど。


「先輩が、NLをお読みになるなんて珍しいですね」

「そう?NLもたまにはいいものよ」

「しかもこれ…きょうだいものですね。いいですよね、禁断の恋」