その瞬間、私の目には信じられない光景が移ったのだ。 「そこは危ないから、あっちへ行ってください」 消防士が近所から見に集まった人たちを、その炎から遠ざけた。 私が見たもの。 それは、大きな炎。 家の形なんて分からないほどの大きな炎。 赤くて、ただ大きい。 そして、その炎の塊から少しはなれた道路に座り、泣き崩れている人だった。