俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

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柳田がフォーラムに参加することが決まり、一花はスケジュールの組み直しをしていた。

「おい、しんのすけ。明日のフォーラム、お前も来い」

「私ですか?向井さんが行くのでは?」

すっかり“しんのすけ”と呼ばれるのにも慣れてきた頃、柳田の指示に一花は首をかしげた。
基本的に柳田の外出時には向井が付き添い、一花は社内で他の業務をするか、携わっても社内から電話やスカイプで連絡を取るくらいしかしたことがない。

そう思って向井に視線を送ると、意外にも向井は申し訳なさそうな顔をした。

「明日は社長とは別件で、私も外出しなくてはいけないんですよ。だから野原さん、お願いできますか?」

「そうなんですか。でも私で務まるでしょうか?」

「会場はこのビル内ですし、明日は特に社長が発表することもないので、着いていくだけでいいです。今後も徐々に出張等もお任せしたいので、その練習だと思ってください」

「はい、そういうことなら……」

「社長のお守りは大変だと思いますが、頑張ってくださいね」

「……はっ?えっ?お守り?!」

慌てて柳田を見れば、一花を見てニヤリと笑う。

「頼んだぞ~、しんのすけ~」

やけに楽しげに笑う柳田を見て、一花はボソリと呟いた。

「お願いだから大人しくしててください」

「丸聞こえだ、ばーか」

急に気の乗らなくなった一花を尻目に、柳田と向井はそれぞれ楽しそうに笑った。