一花の頬の染まりに気をよくした柳田は、強引に一花の手を取り歩き出す。一花は追いかけるように着いていく。

「俺と結婚しろよ」

「なっ、いきなりですか!お友達からって言ったはずです!」

反論するも柳田に聞き入れる様子はない。

「とりあえず一緒に住めよ。セキュリティ抜群のマンションでも買うか」

「買いませんよ」

「一戸建ても捨てがたいよな」

「だから、人の話聞いてます?」

柳田は突然立ち止まり、真剣な眼差しで一花を見つめる。その真剣さに、一花は思わず口をつぐんだ。

「一花、お前はもう俺のものだ。わかったな」

「……!」

強引すぎて返す言葉がない。
なのに全然嫌じゃない。

「……もう、いつも強引なんですよ」

「バーカ、純粋って言え」

「ちょ、それ、自分で言います?」

柳田の笑った顔は屈託がなく、一花への愛に溢れていた。
一花は改めてその想いを感じて胸が熱くなる。

繋いだままの手はなんだかくすぐったく、幸せだった。



【END】