俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

別れた後、穏やかな静寂が二人を包んでいた。

「……前に進む、か」

一花は柳田を見る。
柳田も一花を見た。

「幸せになろうぜ、俺たちも」

その自信はどこからくるのか、一花が断ることは微塵も想定していないように思える。
一花は大きく息を吐き出すと、俯きながら小さく呟いた。

「……とりあえずお友達から……オネガイシマス」

消え入りそうな声でも、柳田の耳にはしっかり届いていて、愛しそうに目を細める。

「一花」

名前を呼ばれてわずかに顔を上げたとたん、ぐいっと顎を持っていかれ、あっと思う間もなく唇が重なった。抵抗なんてできないくらいに強引で、そして甘い。

「こちらこそよろしくな」

したり顔の柳田はとんでもなく甘く微笑んだ。
一花は鳥肌が立つほどに胸の奥がぎゅっとなり、次第に頬が赤く染まり高揚していく。

一花は、ドキドキと脈打つ自分の心臓が壊れてしまうのではないかと思った。

誰かを好きになる。
恋に落ちる。

そんなことは自分の人生でもう二度とないことだと思っていたのに。
そんな感情芽生えるはずがないと思っていたのに。

自問自答しても納得する答えは出てこない。

ただひとつ、言えること。

(私は社長を好きになってしまったんだ)