俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

「康樹の命日は毎年休暇を取ってお参りにくるのよ。お墓のお掃除と近況報告をしにね。今年は土曜日で助かったわ」

「あの、手伝います」

「まあ、ありがとう」

墓石の掃除を始める母親に、一花と柳田も加勢した。
まわりの草を抜いたり、ブラシやたわしで墓石を丁寧に磨く。綺麗になっていくにつれて、一花の心も軽くなっていくようだった。

「私ね、最近おばあちゃんになったのよ」

「おばあちゃんですか?」

「康樹に弟がいたの覚えてる?光樹っていうんだけど、結婚してね子供が産まれたの。も~可愛くって。毎日が楽しいわ。康樹が死んでからしばらく塞ぎ込んだ時期もあったし、その後もいろんなことがあったけど、前に進むって大事ね」

そう言って、康樹の母親は幸せそうに笑った。
何の曇りもない笑顔に一花の心も自然と晴れ渡る。

「一花ちゃんもお幸せにね」

康樹の母親は一花と柳田を交互に見ると、また優しく笑って去っていった。