俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

葬儀はしめやかに執り行われた。
康樹の同級生だろう、学生もたくさん来ていた。

その中で一人だけ、親族に混じりつつもどこか不安そうな学生服を着た女子高生がいた。
呆然とその場にいるだけのような、心ここにあらずといったその彼女を見たときに、これが康樹の言っていた“一花”だと直己は思った。

儚くて今にも消えてしまいそうな一花は直己の目に焼き付き、彼女がこの先この経験を背負わずに生きていけるといいなと、葬儀の間中、ぼんやりと考えていた。

直己と一花は接点があるわけではなく、その後会うことも見かけることもなかったため、この時のことは直己の思い出として残っているだけだった。


***

「康樹の葬儀で呆然としていた女子高生を見たが、あれは一花だったんだな。まさかうちの会社に入社してくるとは思わなかったが」

「社長は私のことを知ってて……?」

「いや。お前が大事な人を亡くしたと言うまではまったく気づかなかった。紐解いてようやく気付いたというべきかな。……よく今まで頑張ってきたな」

柳田が慈しむように一花を見つめると、一花の瞳はとたんに潤んでくる。こぼれんばかりの涙が溢れ出て、一花は口をぎゅっと結んだ。