俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

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直己の父親と康樹の父親は古い知り合いだった。

現役で医学部に合格した直己に家庭教師の白羽の矢が立ったのは、ほんの数日前のこと。
父親同士の酒の席で突然決まったことだった。

せっかく医学部に入学したのにどうもやる気のない直己と、高校二年でアルバイトと恋愛に現を抜かす康樹。双方のためにも、勉強に携わることができる良い機会だと半ば強引に決まった。

直己と康樹は初対面ではない。
家族ぐるみでも付き合いのあるほど知った仲ではある。

「お前、最近彼女ができたんだって?そのせいで成績落ちてちゃダメだろ」

「そうかもだけど、彼女めっちゃ可愛いんだ。直己さんに見せて自慢したい」

そう言って笑う康樹はとんでもなく幸せそうで、直己はいささか嫉妬を覚える。

「今度の試験で学年十位以内じゃないとバイク禁止って言ってたぞ」

「うわっ、マジかー」

「あと、彼女にも会わせないって」

「父さん厳しすぎ……」

本気で青ざめる康樹だったが、それで俄然火がついたようで、直己の指導の元バリバリと勉強に励んだ。