俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

向井は腕組みをして少し考えてから、率直な意見を述べた。

「真面目な人ですよ。勤勉で頭もきれる。情にも厚い。ただし敵にするとやっかいなタイプですね。それと、残念なことに言葉遣いは悪いです。まあ、わきまえてはいますけどね」

「そうなんだ……」

一人言のように漏れ出た一花の言葉に、向井は首をかしげる。

「そんな驚くことですか?最近は私より一花さんの方が社長と一緒にいるのだから、一花さんの方が社長のよき理解者に見えますけど。私はただの腐れ縁ですからね。とはいうものの、信頼しているから直己についてきた。それだけですよ」

「信頼ですか……」

向井は考え込む一花を親のような眼差しで見た。一花の態度から、向井の知らないところで柳田と恋愛の何かがあったことは察して取れた。そしてその事について真剣に悩んでいる。自分の部下が一生懸命に自分のこれからについて考えている姿は、感慨深いものがあった。特にその相手が向井が昔から信頼を置く柳田だから、尚更だ。

「一花さん、これからも社長のこと、よろしくお願いしますね」

「でも……私は社長の想いに応えられません」

「頑張って応えなくてもいいんです。直己は見返りなんて求めてないでしょう?直己のそばにいるだけでいいんですよ。……それが愛だと思いませんか?」

まさか自分の口から“愛”だなんて言葉が出るとは思わなかった向井だが、最近の一花と柳田を見ている限り、二人には上手くいってほしい気持ちがすくすくと芽生えていた。