俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

柳田は大きく息を吐き出す。

「……動かなくなったとき、一花が死んだらどうしようって思った。こんなことなら医師免許を取っておけばよかったとも思ったな」

「大袈裟ですよ」

「俺が事故ったとき、一花が大袈裟なんかじゃないって泣いた気持ちがやっとわかった」

柳田が事故に巻き込まれたとき、病院に駆けつけた一花は涙をこぼした。目の前に元気そうな柳田がいるにも関わらずにだ。あの時の不安、安心、全てが一度にくる感覚を、今回柳田も身をもって体験した。

「大事な人がいなくなったら辛いよな。……康樹だろ?一花の亡くした大事な人」

「え……なんで?」

「やっぱりか。そりゃ手強いわけだ」

一花の驚いた顔に、柳田は一人納得し頷く。

「じゃあ、ゆっくり寝ろよ」

「待って!」

去ろうとする柳田の袖を慌てて掴み、一花は叫んだ。

「何で知ってるんですか?私誰にも話してない……」

振り向いた柳田はベッドに座ると、ゆっくりと一花の頬に触れた。その手つきはとても優しく、一花は息を飲んだ。

「一花が俺と結婚するなら教えてやる」

柳田の言葉に、一花は目が点になる。
そして思わず叫んでいた。

「は?何でそうなるんですか?意味不明です!」

「元気でなによりだ」

頬に触れていた指が顎を軽く持ち上げる。
それは一瞬の出来事で。
柔らかく触れた唇が離れたと同時に、じゃあなと言い残し、柳田は病室を出ていった。