俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

「神戸牛はやめよう。気分悪い」

柳田は綺麗に整えられたネクタイを忌々しく取ると、シャツの一番上のボタンを外す。仕事は終わりだとばかりに大きく息を吐いた。

「じゃあ明石焼きとかですかね？」

「よし、それだ」

帰ることを促していた一花だったがいつの間にか柳田のペースに巻き込まれ、ちゃっかり神戸名物を口にしてしまう。

スマホで検索した駅近くの店に入り、一花と柳田はウーロン茶で乾杯をした。

以前柳田と食事をしたビルの高級レストランとは違い、今日は大衆的な居酒屋だ。てっきり高級志向とばかり思っていた一花は、内心驚いていた。

(社長でもこういうところで食事をするんだ。何か意外だなぁ)

一花の目の前に丸くて平べったい明石焼きとお出汁が置かれた。
柳田が口にするのを見届けてから一花も箸を付ける。玉子のふわふわ感とお出汁が口の中で絶妙なハーモニーを繰り広げた。