俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

「……すごいなぁ」

無意識に口にした言葉は、会場の扉が開くと同時に掻き消されていった。
しばらく待っていると柳田が出てくる。
一花を見つけると早速ネクタイを緩めた。

「お疲れ様でした。まだネクタイは締めておいた方がいいと思いますけど?」

「固いこと言うなよ」

「ダメです、いろいろな方がいらっしゃいますから」

一花はキョロキョロと辺りを見回しながら言う。ネクタイくらい、帰るまできちんと締めておいてほしいものだ。

「じゃあ直して」

「はぁ?」

そう言って、柳田は一花が締めやすいように少し屈んだ。完全に直してもらう気満々の柳田に、一花は戸惑う。

「早く。人が来るだろ?」

躊躇いながらも手を伸ばし、柳田のネクタイをきゅっと締め直した。
意外と難しく、思ったより時間がかかってしまった。