俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

講演会中、一花はロビーで待機していた。

「はー、まさか社長にもたれて寝ちゃうとは」

行きの新幹線で大爆睡し、あげく柳田の肩にもたれ掛かってしまったことを思い出し、一花は一人反省会だ。

初めての出張、しかも新幹線。
そして柳田と二人きり。
たったそれだけのことで一花は緊張して昨晩はなかなか寝つけなかった。秘書としていろいろサポートしなくてはと意気込んでいたハズなのに、蓋を開ければただ着いてきただけみたいになっていて何だか情けない。

「はーーー」

ため息しか出ず、一花は頭を抱えた。

(私は何をしているんだろう)

秘書としてもっとしっかり立ち回りたかったのに、今も会場に入らずロビーで待ちぼうけだなんて、柳田のサポートどころかお荷物でしかない。

(……早く帰りたい)

ふいに会場から大きな拍手が聞こえてくる。
柳田の登壇が終わったのだ。
さすがとも言うべきか、やはり世間からの柳田の評価は高い。もちろん、柳田自身の努力の賜物であることは一花も理解している。