俺様社長の強引愛はただの純粋な愛でした◆おまけのお話を追加しました◆

その後は、世間の動向や今後のビジョンなどを夢熱く語る柳田の話を一花は真剣な表情で聞き入り、そんな態度に向井は微笑ましい思いで二人を見ていた。

「では、取材は以上になります」

穂香の言葉で一花は緊張が解けたかのように、ほうと胸を撫で下ろした。
カメラマンが機材の片付けをしている間、穂香は柳田に触れんばかりの距離でにこやかに談笑する。

「柳田社長、本日はありがとうございました。ぜひプライベートでもお会いしたいですわ」

「光栄ですが、ビジネスの話ならお付き合い致しますよ」

「今日のお話、とても楽しかったです。他にもお話を伺いたいものです。連絡先をお渡ししておきますね」

穂香は名刺を出すと、さらさらと何かを書き加え柳田へ差し出す。

「名刺なら最初にいただきましたよ」

「何枚あっても邪魔にはならないでしょう?」

穂香の押しの強さにも、柳田はにこやかに対応する。が、柳田から発せられる冷ややかなオーラは、一花と向井にはひしひしと伝わってきた。

「それはどうも。取材のアポイントは代表電話にお願いしますね」

「私、欲しいと思ったものは必ず手に入れる主義なんです」

「それはご立派なことで」

柳田の額に青筋が立たんとする。
向井が話をいなそうかと口を開く前に、空気感に耐えられなくなった一花が先に口を挟んだ。

「あ、あの、それでは出口までお送り致します。こちらへどうぞ」

ささっと応接室の扉を開け、穂香とカメラマンを促す。廊下から流れ込む空気が、いたく一花を落ち着かせてくれた。