揺らめく先生の瞳が、私を写している。 私の頬を包んでいた先生の手がふいに離れて、今度は私の両手を包み込んだ。 「俺なんかで、いいのか?」 「先生じゃなきゃ、ダメです」 「俺、ジキルとハイドだよ……?」 苦笑いをしながら答える先生に、私はきゅんとして、思わず笑みがこぼれた。 「そんな先生も、大好きだから」 私がそう答えると先生は一度静かに目を閉じて、再び私をじっと見つめる。 そして、とても優しい声で話し始めた。 「俺は教師だから、特定の生徒に特別な想いを持つ事は出来ない」