先生がいてくれるなら②【完】


先生は、いま何を思って、どんな表情をしているだろう?



──だけどそれを確認する勇気は無かった。



深呼吸をしてもおさまらない、心臓の強い拍動。


緊張で、手が震える……。


その震える手に、……先生の大きな手が重ねられた。


その瞬間、私の身体がビクリと跳ねる。



「立花、こっち見て」



先生の優しい声が私の耳のすぐそばで聞こえて先生の顔が私のすぐ近くにある事が分かり、私はますます顔を上げる事が出来なかった。