「絶対、絶対ここから出ようって、頑張りました」
「うん、お前はよく頑張ったよ」
私の頭を撫でてくれる先生の大きな手。
よく頑張った、って、頷きながら。
「私、先生にも、伝えなきゃいけない事があります」
「うん……何?」
「私……先生に、たくさんお礼言わなきゃいけないのに、一度もちゃんと言ってなかったですよね。
お兄ちゃんのお見舞いの時も、苦手な数学を教えてくれた事も、進路変更のあといっぱい支えてくれてる事も。
そして何より、私をちゃんと見つけ出して、助けてくれた事。
先生、ありがとうございます。
私、先生がいなかったらきっと、今ここにいないと思うから……」



