先生がいてくれるなら②【完】


「絶対、絶対ここから出ようって、頑張りました」


「うん、お前はよく頑張ったよ」


私の頭を撫でてくれる先生の大きな手。


よく頑張った、って、頷きながら。


「私、先生にも、伝えなきゃいけない事があります」


「うん……何?」


「私……先生に、たくさんお礼言わなきゃいけないのに、一度もちゃんと言ってなかったですよね。

お兄ちゃんのお見舞いの時も、苦手な数学を教えてくれた事も、進路変更のあといっぱい支えてくれてる事も。

そして何より、私をちゃんと見つけ出して、助けてくれた事。

先生、ありがとうございます。

私、先生がいなかったらきっと、今ここにいないと思うから……」