先生がいてくれるなら②【完】



俺はコーヒーを淹れながら、襲い来る煩悩を必死に振り払っていた。


しかし煩悩は去ることは無く、起き抜けの可愛い立花の顔が俺の頭の中で再生され続ける。


俺は変態か。


──いや、健全な成人男性なんだ、これぐらいは許して欲しい……。



コーヒーを淹れ終わる頃、立花が寝室から出て来た。頬を赤らめながら。


いやいや、顔を赤らめたいのはこっちです、と言ってやりたい。


どんだけ我慢したと思ってんだ。


なんなら今から襲おうか? ……いや、襲わないけどさ。



「コーヒー、良い匂い……」


そう言いながら息を一杯に吸い込んでる立花。


いやいや、多分良い匂いなのはお前の方だと思うんですけどね?



淹れたてのコーヒーをカップに注ぎ、ソファの前のテーブルにカップを二つ並べて置いた。


両手を広げて立花に向かって手を伸ばすと、俺の意図を察した立花が大人しく俺の腕の中に包み込まれる。



んー、やっぱお前の方が良い匂いがする。


立花を抱き締めたまま大きく深呼吸すると立花が「どうしたんですか?」と聞くので、「うん、お前が良い匂いすぎるから吸い込んでた」と正直に答えると、俺の腕の中で立花が狼狽え始めた。


「せ、先生っ」

「お前が聞くからホントの事答えただけ」

「……っ、もうっ」


俺の背に回された立花の手が俺の服をギュッと握って抗議の意志を伝えて来るのが可愛くて。


真っ赤になっている耳に唇を押しつけると、少し熱を持っている。


そのまま食むように唇で挟んで……舌先でペロリと舐めた。


「ひゃっ……!」


ふふっ、可愛い声。


お前、耳、敏感だよな。