「なんで隠れる? 寝起きの顔、見せて」
俺が耳元でそう囁くと、「は、恥ずかしいから、絶対イヤです」と、ますます隠れる。
俺は「……もう見ちゃったけどね」と笑いながら立花の手を掴んで、立花の細い指に唇を押し当てた。
「せ、せんせ……っ」
抗議の声。
でもそれ以上は続かなくて、どうやら俺が明け方にコッソリ付けたブレスレットに気付いたようだ。
「えっ……!?」
面白いなお前。
お前の起き抜けって、いつもこんな感じなのか?
面白いし可愛いし、飽きないなぁお前を観察してたら。
「せ、先生、これ……」
「んー、きっと立花がお利口さんにしてたから、サンタさんがくれたんだろ。サンタさんに “良い子” って認めて貰えて良かったな?」
俺は笑いながらそう言って、立花の腕に巻き付くブレスレットにそっと唇を押し当てた。
「先生っ」
「ん?」
「ありがとうございます、すごく嬉しいです!」
「うん、サンタさんに伝えとく」
「……もうっ、先生っ」
立花が俺にギュッとしがみつく。
俺は彼女の頭をふわりと撫でて──そっと引きはがした。
だめだめ、ヤメロ。
お前、俺も起き抜けだって、分かってねーだろ。
そりゃお前よりは先に目が覚めてたけど、こっちだってホントに起き抜けなんだよ、二度目だけど。
そんな状態で抱きつかれたら、俺、お前を襲う自信しかねーわ。
危ないから離れてくれ。
「先生?」
俺の心の声など全く聞こえていない立花は、なぜ俺が突然ベッドから出たのか理解できないらしい。
まぁいい。
お前はまだ知らなくていいよ。
「コーヒー淹れてくるから、ゆっくり起きておいで」
純粋無垢な立花を寝室に残して、俺はキッチンへと逃げ出した──。



