先生がいてくれるなら②【完】


ベッドの中へ滑り込んだ立花が、俺を見上げている。


俺はベッドの傍らに膝をついて、立花の頭をクシャリと撫で、髪にそっとキスをした。


「立花……」


俺がそう呟くと、立花が手を伸ばして俺の手にそっと触れる。


「おやすみなさい」


そう言った立花の声は、とても小さくて。


俺の手に触れていた立花の手を取って、彼女の手の甲に自分の唇をそっと押し当てた。


「先生……」


そんな切なげな声で俺を呼んじゃだめだ、立花。



立花がゆっくりと目を閉じた。


俺はまだ彼女の手を離せないでいる。


抱き締めて眠る事は出来ないから、せめてこのまま立花が眠りに落ちるまで手を握りしめていようかな。



俺の心の声を聞いたのか、立花が一度閉じた目をゆっくりと開ける。


そんな、仕草とも言えないほどの小さな動きすら、俺には愛おしすぎて。



立花が布団の中で俺の方へ身体を向ける。


「……先生、身体、冷えちゃいますよ?」


俺の心配なんかしないで、眠って良いのに。



俺は彼女の手をギュッと握りしめてそこに自分の額を押し当てた。


はぁ……。



「立花……」


「……はい」



立花にばかり我慢させるのは、やっぱり間違ってるよな……。



「……やっぱり……お前を抱き締めて眠っても、いい?」



俺の言葉を聞いた立花は、すぐに嬉しそうな顔でコクリと頷く。


あぁ、やっぱりこれが “正解” なんだな。