先生がいてくれるなら②【完】


しかし納得できないのか、俺の着ているスウェットの上着をギュッと掴んで、上目遣いに睨んでくる。


だから。やめろって言ってんだろ、その顔。



俺は立花の頭から手を離し、半歩後ろに下がった。


危ない。


この距離だと、多分、襲う。



せっかくちょっとだけ離れたのに、立花は俺の上着から手を離さないどころか、離れた分の距離を詰めて、また俺を上目遣いに見上げてくる。



「……離れろ」

「嫌です」

「……手を離せ」

「絶対嫌です」

「……」


俺のスウェットをグッと握り込む立花の手にそっと手を重ねて「立花、大事なことだからよく聞いて……」と優しく声をかけた。


立花の表情が少し不安そうな顔に変わり、俺を睨んでいた視線が少し下げられる。



「俺はね、お前が高校生のうちは、キスより先のことをする気はないよ」



俺がそう告げると、立花は一度下げていた顔と視線を再び上げ、俺を見上げた。


立花の瞳が悲しげに揺れる。