しかし納得できないのか、俺の着ているスウェットの上着をギュッと掴んで、上目遣いに睨んでくる。
だから。やめろって言ってんだろ、その顔。
俺は立花の頭から手を離し、半歩後ろに下がった。
危ない。
この距離だと、多分、襲う。
せっかくちょっとだけ離れたのに、立花は俺の上着から手を離さないどころか、離れた分の距離を詰めて、また俺を上目遣いに見上げてくる。
「……離れろ」
「嫌です」
「……手を離せ」
「絶対嫌です」
「……」
俺のスウェットをグッと握り込む立花の手にそっと手を重ねて「立花、大事なことだからよく聞いて……」と優しく声をかけた。
立花の表情が少し不安そうな顔に変わり、俺を睨んでいた視線が少し下げられる。
「俺はね、お前が高校生のうちは、キスより先のことをする気はないよ」
俺がそう告げると、立花は一度下げていた顔と視線を再び上げ、俺を見上げた。
立花の瞳が悲しげに揺れる。



