何かを言いかける立花の言葉を遮り、「送る」と言って部屋を出ようと立花の腕を掴んだ。
「先生っ、聞いて下さいっ」
「お前の言い方じゃあ、それほぼ無断外泊に近いから」
「違います、ちょ、ちょっと……先生っ」
違わない。
男の部屋に泊まるなんて報告はしにくだろうし、反対される事を恐れて適当にしか言わなかったのかも知れないけど……。
無断外泊だけはさせたくない。
必死に抵抗する立花が「あの、ちゃんと、言いました」と言っているが、俺は引きずるように前へ進む。
「お母さんは知ってます、私と、先生のこと」
立花の発した予想外の言葉に、俺は足を止めてゆっくりと彼女の方へ振り返った。
「……は?」
いま、なんて言った……?
「だから……お母さんは先生と付き合ってること、かなり前から知ってて……。だから正直に言ってから来ました」
……、し、知ってる、のか……。
……そっか、
「ごめん……」
俺は掴んでいた彼女の腕を引き寄せて、優しく抱き締めた。
良かった、いや、良いのか悪いのか判断しかねるけど……。
「さすがに無断外泊はさせられないから、家に帰そうかと思った。でも、知ってて許可してくれてるんなら……」
ギュッと抱き締める。
「大丈夫です。お母さんも『先生なら』って……」
「そっか……、ありがとう」
本当にありがたいな、そんな風に思って貰えて……。
お母さんのその思いを裏切らないようにしなければいけないな。
俺はギュッと抱き締めたままの立花の頭に頬をすり寄せ、彼女と、彼女の母親に心を込めて「ありがとう」と呟いた……。



