買おうかどうかを迷っているのは、とても小さなクリスマスツリーだ、持って帰るのに造作も無い、何を迷うことがある?
買えば良い。てか俺が買う。
でも一応、なぜ迷っているのか理由を尋ねた。
自宅にもツリーはあるが今は飾ってなくて、それなのにこれを買うのは気が引ける……と言うことらしい。
なるほど、立花らしい理由だな。
「だったら、これは俺んちに飾ればいいんじゃない?」
そう提案すると、なぜか固まったあとポッと頬が赤くなり、コクコクと嬉しそうに頷いた。
決まりだな。
帰ったら早速テーブルに飾ろうな。
これからも12月になったら一緒にこれを飾るんだ。
──そんな事を考えていると、俺も思わず頬が緩んでしまう。
ツリーを買った後もクリスマスマーケットを色々見て回っていると、立花が何か言いたそうに俺の方を仰ぎ見た。
なに? どうした?
俺が首をほんの少し傾げると、「あのね、……やっぱりたまにはお外デートも楽しいな、って思って」と本当に嬉しそうに言う。
「うん、そうだな」
これからも出来るだけ仕事を早めに片付けて、一緒にどこかに出かけよう。
一緒に色んな所に行って、たくさんたくさん楽しもう。
「先生、ありがとうございます」
「なに、急に改まって」
「ごめんなさい。やっぱりお外デート、楽しいです」
お前が楽しんでくれていて、俺も楽しいし嬉しいよ。



