先生がいてくれるなら②【完】


多分、これが正解なんだ。


私は掛け布団を捲り、ベッドの中へ、スルリ、と衣擦れの音をさせて滑り込む。


こんなに広いベッドなんだから端と端で一緒に眠ったって大丈夫なのに、と心の奥の奥で思ったけど、絶対に口にしないし顔にも出さない……。



布団の中から先生を仰ぎ見ると、先生はベッドの傍らに膝をつき、私に手を伸ばして頭をクシャリと撫でてくれた。


そして、髪にそっとキスを落とす。


「立花……」


私は手を伸ばして先生の手にそっと触れ、もう一度小さな声で「おやすみなさい」と言うと、先生は私の手を取って手の甲に自身の唇を押し当てた。



先生の唇が触た部分から、じわりと熱が広がる。


「先生……」


私が先生を呼ぶと、私を見下ろす先生の瞳がゆらりと揺れる。



ずるいよ先生、そんな色っぽい顔しないで。


私は小さく息を吐いて、ゆっくりと目を閉じる。


先生の表情を瞼に焼き付けるようにして。



私の手を先生がまだ握ったままだけど、このまま眠りに落ちるまで握っててくれないかな……。


あぁでもそうしたら、先生が風邪引いちゃうか。


手を離して貰わないとね。



私がゆっくりと目を開けると、先生は目を細めて私を眺めていた。