「せんせ……」 掠れた小さな声で俺を呼ぶ。 俺は、握りしめた彼女の手を壊してしまわないように、優しく力を込めた。 「助けてくれて、ありがとう、先生……」 今にも泣き出しそうなのにそれでも微笑もうとする立花が、堪らなく愛おしい。 立花の華奢な手にそっと口づける。 「……ねぇ、先生、いま何時ですか……?」 立花の唐突の問いに、ふと部屋に駆けられた時計を見上げた。 「5時すぎだよ」 「夕方の?」 「そう」 「先生……学校に戻って下さい。明日、修学旅行でしょ……?」