先生がいてくれるなら②【完】


「あの、ちゃんと、言いました。お母さんは知ってます、私と、先生のこと」


私がそう言うと、先生の足がようやくピタリと止まった。


そして、ゆっくりと私の方へ振り返る。



「……は?」


「だから……お母さんは先生と付き合ってること、かなり前から知ってて……。だから正直に言ってから来ました」



先生は一瞬困ったような照れくさそうな表情をしてから「……そっか」と呟く。



「あの……」


私は先生をおずおずと見上げると、先生はため息を吐いた後「ごめん」と言って、私を引き寄せて抱き締めた。


「さすがに無断外泊はさせられないから、家に帰そうかと思った。でも、知ってて許可してくれてるんなら……」


先生はそう言って私をギュッと抱き締める。


「大丈夫です。お母さんも『先生なら』って……」

「そっか……、ありがとう」


先生は私をギュッと抱き締めたまま私の頭に頬をすり寄せて、私の耳元でもう一度「ありがとう」と言った。