「あの、ちゃんと、言いました。お母さんは知ってます、私と、先生のこと」
私がそう言うと、先生の足がようやくピタリと止まった。
そして、ゆっくりと私の方へ振り返る。
「……は?」
「だから……お母さんは先生と付き合ってること、かなり前から知ってて……。だから正直に言ってから来ました」
先生は一瞬困ったような照れくさそうな表情をしてから「……そっか」と呟く。
「あの……」
私は先生をおずおずと見上げると、先生はため息を吐いた後「ごめん」と言って、私を引き寄せて抱き締めた。
「さすがに無断外泊はさせられないから、家に帰そうかと思った。でも、知ってて許可してくれてるんなら……」
先生はそう言って私をギュッと抱き締める。
「大丈夫です。お母さんも『先生なら』って……」
「そっか……、ありがとう」
先生は私をギュッと抱き締めたまま私の頭に頬をすり寄せて、私の耳元でもう一度「ありがとう」と言った。



