「家の人に何て言ってきた?」
部屋に入るなり、先生が私にそう尋ねる。
「え。普通に『泊まるね~』って」
「……誰んちに?」
「……」
「まさか、泊まるって事しか言わなかったのか?」
「いえ、あの……」
「おい」
先生の目が怒ってる。
いや、言ったんです、言いました、報告してます!
「あの、」
私の言葉を遮って、先生は私の腕を掴み「送る」と言って部屋を出ようとする。
「先生っ、聞いて下さいっ」
「お前の言い方じゃあ、それほぼ無断外泊に近いから」
「違います、ちょ、ちょっと……先生っ」
必死に抵抗する私を先生は半分引きずるように前へ進む。



