先生がいてくれるなら②【完】



「家の人に何て言ってきた?」


部屋に入るなり、先生が私にそう尋ねる。


「え。普通に『泊まるね~』って」

「……誰んちに?」

「……」

「まさか、泊まるって事しか言わなかったのか?」

「いえ、あの……」

「おい」


先生の目が怒ってる。


いや、言ったんです、言いました、報告してます!


「あの、」


私の言葉を遮って、先生は私の腕を掴み「送る」と言って部屋を出ようとする。


「先生っ、聞いて下さいっ」

「お前の言い方じゃあ、それほぼ無断外泊に近いから」

「違います、ちょ、ちょっと……先生っ」


必死に抵抗する私を先生は半分引きずるように前へ進む。