先生がいてくれるなら②【完】



マンションの駐車場のゲート前に一度車を停めて、先生が私の顔を覗き込む。


「なぁ……ほんとに泊まって大丈夫なのか?」


ちょっ……、その質問は、いまするべき質問ですか!?


いやいやいや、ちょっと、恥ずかしいからやめて下さいっ。


うー、顔が熱いっ。


間違いなく、顔やら耳やら真っ赤になってると思う。



「だ、大丈夫です、ちゃんと……」


まだ私がしゃべってる途中なのに、先生は自らのシートベルトをグイと引っ張って緩め、私の方へと身体を傾ける。


そして私に覆い被さるようにして……唇を重ねた。



「……っ、」



リップ音を残して一度離れ、再び唇が重なる。


それは啄むような優しくて軽いキスだけど、私の心拍数と呼吸数を上げるには十分で……。



「……んっ、……」



は、ぁ……、む、無理、……先生っ。


息、どのタイミングで吸えば、いいの……っ!?




苦しくて、私は思わずギュッと先生の服を掴むと、先生の唇が名残惜しそうにゆっくりと離れた。




先生は私の様子を見てフッと笑うと「……ごめん、中入ろっか」と言って、駐車場のゲートを開けて車を中へと進めた。