気が重い。
立花を連れてあの家に足を踏み入れるとか……地獄だ。
立花も緊張している様子だが、それにしても……ワンピース姿が似合っていて、とても可愛い。
家族との食事なんかやめて、ふたりでどこかのレストランに行きたい気分だ。
俺のモヤモヤした気分を、立花は得意の爆弾発言ですっかりと、木っ端微塵に吹き飛ばす。
「先生……素敵です」
いやいやいや、素敵なのはお前ですよ?
なんならもうホントに実家行くのやめるか。
──と思ったけどそんなわけに行かず、俺は渋々出かける準備をする。
立花がそわそわ、いそいそと、何かをしようとしているが……そう言うのは帰ってからにしろ。
とにかく俺は立花を車に押し込んで、実家へと向かった。
実家へ到着すると、応接室に通された。
まぁ、俺だけならともかく、今日は立花を連れてるから “客対応” なんだろうな。
隣に座ってる立花が、とても緊張しているのが分かる。
そりゃそうか、親父と会うだけでも緊張するだろうに、家族全員と、しかも食事なんて……と少し可哀想になる。
申し訳ない、俺のせいだ。
いや正確には俺のせいじゃなくて、親父のせいだ。
でも、……俺の家族相手に緊張なんかする必要無いよ。
お前は光貴とも仲良くやってるし、きっと下の広夢とも気が合うんじゃないかな。
今日一日だけの事だから、この際俺の両親のことは無視しとけば良い。



